HTML5でどう変わる
2014年に勧告を控えているHTML5ですが、今から大人気ですね。うちのような(テキストと画像のみの)個人サイトには、どう関わってくるのでしょうか。
ブラウザ非依存になる
HTML5は特定のOSやブラウザに依存しない環境の実現を目指しています。閲覧側がどんなOS、ブラウザを使用していても、表示の仕方が大きく異なることはないということです。
作成側としては「OSは何々、ブラウザは何々で確認しています」の表示から普通に解放されるということですね。(今までは多くのブラウザに対応させるためにテクニックが必要でした)
【memo】
ブラウザのバグによる多少の表示の違いはHTML5になっても残ると思われます。しかし今までとは違い、修正も速いでしょうね。特定のブラウザに依存するWebページが存在しないということは、ブラウザをバージョンアップさせても問題ないということですから。既に、Google ChromeとFirefoxは、6週間ごとのバージョンアップを行っており、ブラウザのバージョンは意味のないものになりつつあります。
フレームの廃止
もともとユーザービリティに問題ありとHTML4.01で既に非奨励扱いになっていたフレーム機能ですが、HTML5で正式に廃止されます。しかし、だからといってHTML5対応のブラウザでフレームを使ったページが表示できなくなるわけではありません。
今までのブラウザがサポートしていた仕様は、新しいブラウザでもサポートされます。(HTML5対応ブラウザは、フレーム使用のXHTML1.0やHTML4.01のページもサポートするということです)
【memo】
HTML5でフレームを使うことは(確認したブラウザが表示できたとしても)やらないほうがいいでしょうね。ブラウザがサポートするのは仕様書があればこそです。フレームを使うときは(フレームが使用できる)XHTML1.0やHTML4.01で作成する、今のブラウザがたまたま表示できたという偶然に頼ると、ブラウザがバージョンアップした途端、レイアウトが崩れたり、表示できなくなるリスクがあります。
iframe要素は残る
フレームは廃止されると言いました。しかし、唯一、iframe要素は残ります。なので、Webページの特定の場所に領域を確保して、そこに別のHTMLファイルを表示させることは、HTML5でもできます。
装飾系の要素、属性は削除
HTML5では、フォントの指定、中央揃えなど、見た目に関する要素や属性が削除されました。(デザインはCSS3で行います)
【memo】
HTML5で記述されたWebページのデザインは、CSS3で行うことになります。そのCSS3ですが、より複雑なデザインができるようになっています。例えば、角を丸くする、グラデーション、特定の領域・特定の色だけを半透明にする、背景画像でレイヤー(画像を重ねる)など、今まで画像そのものを加工しなければ実現できなかったデザインがCSSの指定で出来るようになっています。
テキスト関連の要素、属性は追加
HTML5では、今まで以上に文章構造が明確になりました。日付、ヘッダー、ナビゲーション、章、節、フッターと明確な構造で記述できるようになります。
【memo】
個人的に一番魅力を感じているのがこれです。テキストの構造が明確になるということは、テキスト文がキレイに表示できるということなんです。
今までは見出し、段落、改行ぐらいしかなく、公開側のセンスや工夫で読みやすくなるようレイアウトするしかありませんでした。しかしブラウザがテキスト構造を理解できるようになれば、表示のしかたをブラウザまかせに出来るようになります。
ユーザー環境が多彩になりつつある今、読みやすさの部分をブラウザが最適化して表示してくれるのはメリットだと思います。
縦書きとルビ(ふりがな)をサポート
HTML5では縦書きとルビが正式にサポートされます。ちなみにルビはXHTML1.1でサポートされていた機能です。HTML5でも引き続きって、ことですね。
【memo】
縦書きはタブレットやスマートフォン向けとして良いかもしれません。一方、パソコンでは読みにくいと思います。目は縦に大きく動かすと疲れますから。
余談ですが、iPhoneのiBookにも採用されている電子書籍フォーマット「EPUB3」は、HTML5の仕様に従っています。なので、Web上にワープロ感覚でだだーっ書いたものをiBookのような電子書籍リーダーで読むというサービスが出てくるかもしれません。(いずれにしてもここまで自由にやってOKなのはオリジナル作品だけでしょうけど。二次創作は無断でここまでやったら著作権者が黙っていないという気がします)
将来的には
将来は、XHTMLもHTML4.01も、HTML5に吸収される予定です。
【memo】
もともとXHTMLは、HTML4.01の正式な後継言語でした。HTML4.01の次がXHTML1.0だったわけです。HTML5は出ません、今後はXHTMLでいきまーすといっていたのが(移行がうまくいかず)HTML5が登場しました。流れからいえば、HTML4.01の次がHTML5ではなく、間にXHTMLが入っています。
最初はHTMLはHTML、XHTMLはXHTMLでいく案もあったらしいのですが、結局、どちらもHTML5に合流します。
HTML5は2種類の構文が定義されており、HTML4.01のように書くことも、XHTML1.0のように書くこともできます。
これまで作成したページはどうなる
HTML5で作り直す必要はないので安心してください。ファイルの扱いについてはたいてい「新しいバージョンは、古いバージョンで作成されたファイルを扱える。しかし古いバージョンは新しいバージョンで作成されたファイルを扱えない(上位互換性)」のルールをもっています。
これはブラウザにしてもそうです。
古いブラウザはHTML5で作成されたページを上手く表示できませんが、HTML5対応の新しいブラウザは、HTML4.01やXHTML1で作成されたページを表示できます。